Educare PLUS Special Edition vol.2

ご好評いただいております人材教育コラム-Opinion- Educare PLUSに加え、研究チーム「グロースラボ」メンバーによるフィールド実践コラムの連載がスタートしています。
教育現場の「今、知りたい!」にお答えする、より実用的な内容となっておりますので、是非ご一読下さい。
※当コラムは、-Opinion- Educare PLUSの特別版として不定期にお届けします。

vol.2 自走するZ世代を育てる―前編― ~時代を捉えた新人研修のありかた~

近年、接客販売を始めとする様々な現場において、「若手にどう接していいかわからない」「新入社員のモチベーションが上がらず、すぐに離職してしまう」などの悩みを多く聞くようになりました。超人手不足が叫ばれる中、主要な戦力となる若手社員(Z世代:1990年代半ばから2010年代初頭に生まれた世代)が定着しないことは企業にとって大きな課題です。
このような課題に対して、教育ができることは何でしょうか。それは、人材が企業にとって理想的な戦力となるよう、教育の力で後押しすることです。理想的な戦力とは、多くの企業にとって、自ら「やる気」を起こし、それを自分で維持できるZ世代、ではないでしょうか。その理想に対し求められる教育とは、社会人としての心がまえを身に付けつつ、Z世代の「やる気」に火をつける新人研修が、まず挙げられるでしょう。その内容は、どういったものが効果的なのでしょうか、Z世代の特徴とやる気(モチベーション)向上の必須要素を確認しながら掘り下げてみましょう。

Z世代の特徴

Z世代の特徴を分析すると、「個性」「承認」「体験」「根拠」という4つのキーワードが浮上します。

個性:
多様性や包摂性を重要視するZ世代は、個々の価値観やライフスタイルが尊重される環境を求めます。画一的なルールや規範よりも、自分らしさを表現できる自由や柔軟性を重んじます。企業や組織においても、個人の個性や意見が尊重されることを重要視する傾向があります。

承認:
ソーシャルメディアの普及により、Z世代は「いいね」やフォロワー数などの形で、他者からの承認や評価を受ける頻度が高くなっています。このため、自己表現や行動が他者から認められること、評価されることに強い関心を持ちます。職場でもフィードバックを重視し、自己成長につながる承認を求める傾向があります。

体験:
物よりも体験を重視するZ世代は、商品やサービスの購入においても、ただの所有ではなく、価値ある体験やストーリーを求めます。また、学びや成長に関しても、実際の経験や体験から得られる知識やスキルを重視します。

根拠:
Z世代は情報過多の環境で育ち、常に多くの選択肢から最適なものを選ぶことが求められています。そのため、意思決定や行動には明確な根拠が求められ、信頼できるデータや事実に基づいた説明を重視する傾向があります。また、デジタル環境に慣れているため、簡単に情報の真偽を確認でき、納得できる根拠を明示することが重要です。

内からのやる気を高める「内発的動機付け」

次に、モチベーション(やる気)に目を向けてみましょう。モチベーションを向上させる2つの要素として、外発的動機付け(給与・評価・環境など)と内発的動機付け(興味・達成感・自己成長)があります。自らやる気を高め、「自走する」Z世代を育成するためには、内発的動機付けを意識した教育が必要となります。内発的動機付けを形作る要素としては、自律性・有能感・関係性が挙げられ、具体的には以下のような役割を担っています。

自律性:
個人が自分の意志で選択し、行動できる自由を持つことを意味します。自分で目標を設定したり、取り組み方を決定できたりする場合に内発的動機付けが高まります。自律性が尊重されると、人は自身の行動に責任を持ち、主体的に取り組むことができます。仕事や学習においても、やり方やスケジュールを自分で決められると、モチベーションが高まる傾向があります。

有能感:
自分がスキルを発揮し、課題や目標に向けて効果的に取り組めるという感覚を指します。人は、成功体験を積むことで自分の能力に自信を持ち、さらに挑戦しようという気持ちが高まります。このため、適切なフィードバックや達成感を得られる環境が重要です。仕事でも、達成感を感じたり、成長が実感できる環境においてモチベーションが高まります。

関係性:
他者とのつながりや、周囲との良好な関係を感じることを指します。人は、他者との信頼関係や共感、サポートを感じられる環境においてモチベーションが高まります。職場や学びの場において、同僚や上司との協力関係や、チームワークの中で自分の存在価値を感じられることが、内発的動機付けを高める要因となります。

まとめ

Z世代の特徴を踏まえ、内からのモチベーションに火をつける教育を考えるにあたっては、特徴と内発的動機付けの各要素の紐づけが重要となります。Z世代×やる気要素、二つを掛け合わせることで、どのようなシナジー効果が生まれるのでしょうか。次号後編では、そのシナジー効果を活用した教育の在り方について、さらに深掘りします。

2024年8月発行

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